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PRE-CONCERT Vol.1 西藤ヒロノブ with Fantastic Friends
- 2016-10-19 (水)
- お知らせ
宮崎ジャズデイ2017・ユネスコ430
PRE-CONCERT Vol.1
西藤ヒロノブ
with Fantastic Friends
Island Jazz Tour 2016
Open16:30〜 Start17:00〜
一般¥3,000 (パーティ代1,000円別途料金)
サポータ会員無料 (パーティ代1,000円別途料金)
※パーティは、ボジョレーヌーボーと軽食を用意します。
会場:日2016.11/20(sun)
西藤ヒロノブ (guitars & ukulele)
宮崎県生まれ。1999年より奨学金を得てボストンバークリー音楽大学へ渡米。
2004年スペインの名門レーベル、フレッシュサウンドレコードより日本人初
のアーティストとしてCDデビュー。2010年、本邦初のアルバム「Reflection」をリリース。
レパートリーにウクレレを加え、アイランド・ジャズという新たなジャンルを開拓。
モントレージャズフェスティバル、NY Ukulele Festival、ブルーノートNYなどに出演。
ニューヨーク、ハワイ、ヨーロッパ、カメルーン、北中南米、アジア諸国、
日本など世界各地で演奏活動を行っている。
Marco Panascia
マルコ・パナシア (Bass)
イタリア生まれ、ニューヨーク在住。バークリー音楽大学卒業。
ソニー BMGレーベルの若手ピアニスト、Eldarのメンバーとして、
彼の2枚のアルバムに参加する。
2008年、そのアルバムがベストコンテンポラリージャズアルバム
としてグラミー賞にノミネートされる。
天倉正敬 (drums)
広島県出身。AN MUSIC SCHOOLにて樋口昌之、池長一美、
両氏に師事。広島生まれ。幼少の頃からドラムに触れる。
高校卒業後、AN MUSIC SCHOOL入学。樋口昌之、
池長一美、両氏に師事。AN卒業後、渡米。
ハタヤテツ(Piano,Keyboard,Compose)
京都出身、東京を拠点に活動するピアニスト/作編曲家。
「Ego-Wrappin’」のピアニスト/キーボーディスト
現在までに秦基博、元ちとせ、BONNIE PINK、大橋トリオ、
森山直太朗、等多数のアーティストのレコーディング、ツアーに参加。
また作編曲家として映画音楽に携わる。
(日本テレビ系金曜ロードSHOW!「視覚探偵 日暮旅人」映画「真田十勇士」他)
一般向けticket好評発売中!!
◎日髙本店プロショップ
◎山形屋プレイガイド 7F
◎TSUTAYA カリーノ2F
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私と西藤ヒロノブの出会い その1
- 2016-10-19 (水)
- お知らせ
予告編だけアップして、その後は知らん顔というのがワタクシの悪い癖である。前回のエントリーの最後に、次は「私と西藤ヒロノブの出会い」をアップすると書いておきながらあっという間に1週間以上過ぎてしまった。歳月人を待たず、ストーンズの曲にも”Time waits for no one”という名曲があり、そこでリードを弾いているミック・テイラーのギターがサンタナっぽくて面白いのだが、ロックの話を書くわけではないので端折る。
いいわけになるが、先週は少し体調を壊してしまい、病院で点滴を受けたり検査したり大変だった。したがってエントリーをアップする気力も体力もなく、気ばかり焦る日々だった。今週に入って何とか健康も取り戻したので、シリーズものとして「私と西藤ヒロノブの出会い」あるいは「イントロデューシング・ヒロノブ・西藤」的な話をアップする。だいたい初めて彼の演奏を聴いたのはいつだったか、拙blogで調べてみると、なんと8年前。2008年の4月に日高時計本店のサロン・コンサートが最初だった。もっとも、この時は彼のギターよりもフランシス・マバッペというカメルーン出身のミュージシャンの印象が強烈で、西藤ヒロノブはジャズ・ギタリストとしての印象よりもメロディメイカー、コンポーザーとしての才能のほうが記憶に残っている、
それではその時の彼の演奏について、以前に書いたエントリーの中から抜粋してここにアップします。
【以下引用:引用元はこちら】
ところで、この日に見るフランシス・マバッペ”>フランシス・マバッペ・トライブは全く先入観なしというか、情報もしらず、西藤大信(2008年当時は「ヒロノブ」は漢字だった)は若手ジャズ・ギタリストというくらいの認識しかなかった。しかし、そんなことはどうでもいいと思えるような圧巻のライブだった。18時半を回ったところでMCが入り、すぐにミュージシャンが登場した。サックスの背の高い白人、ドラムのちょっと小柄な白人、そしてイケメンの我がポンニチ代表の西藤大信、最後に登場したのがふっくらというよりがっしりと表現したほうがいいベース兼ボーカルで今回のグループのリーダー、フランシスだ。最初にメンバー紹介を西藤さんが当然日本語で行う。ピーター・ガブリエルと競演したというところに僕はちょっと興味を持ったが、まさかジェネシスみたいなプログレ系の音では無いだろうと予想していた。
1曲目はフランシスがアコギを手に取り、ステージ中央に置いてあった椅子に腰掛け爪弾くところから始まった。彼はアフリカのカメルーン出身でその国の子供たちのことを歌った歌だと西藤さんが説明してくれた。メロディのきれいなバラードで、言葉は全然分からないが胸に染みてくるものがあった。ふと、下地勇を始めて聞いたときのことを連想した。しかし、バラードが終わってからはリズムの嵐だった。とにかくベースがうねるというか、グルーヴするというか、ビンビンなのだ。声は意外に高いがキンキンするような声質ではないので聞きやすい。ベースを弾きながら歌うというのは、ジャック・ブルースというか(我ながら、たとえが古いなぁ)、最近ではスティング(ってスティングも相当古いが)などが有名だが、どっちかというとスティングみたいな声の感じです。あ。説明してもしょうがないので彼のHPでかなり試聴できるので聞いてみてください。
西藤さんのギターはテクニックに走ることなく、エモーショナルな音色をかなで、ドラムはアフリカの打楽器だろうか名前は分からないが、不思議なビートを叩いている。サックスは何となく無表情というか、癖のないところがこの人の個性なんだろうか。いや素直に耳に入ってくる音だ。そうそう、何曲か演奏を聴いているうちに頭の中に「アイランド」時代のキング・クリムゾンが浮かんできたのだ。ドラムはイアン・ウォーレスでサックスはイアン・マクドナルドではなくメル・コリンズ時代のクリムゾンだ。一体どこに共通項があったのだろうか。今考えてみると不思議な連想だった。
何曲目だったか、カメルーンのリズムをフィーチャーした曲をやった。聞いてビックリ、沖縄のリズムそっくり、チャンプルーズだ。もっとも一言でアフリカのリズムといっても沢山あるとMCで話があり、変則5拍子のリズムや、何じゃこのリズムはという摩訶不思議なものもあった。共通して言えるのはバンドのリズムの切れのよさ、特にエンディングの思い切りの良さ。突然、終わるのだ。一切の余韻無く。ところで、今日のライブはチケットの要らない、いわゆるフリー・ライブなのでせいぜい1時間ちょっとだろうと思っていたが、何と前半1時間休憩入れて後半1時間というみっちりライブであった。これには感謝感激した。
休憩時間にトイレに行ったのだが、2階のトイレが多かったので1階に下りた。するとそこに西藤さんがいた。そばで見るとやっぱりイケメンである。つまりオレにとっては不倶戴天の敵である。ルックスが良くて楽器も上手い。天は簡単に二物を与えると心の中で毒づいた。しかし、二物ではなかった。彼の作曲能力に驚くのに時間はそうかからなかった。畜生「Message to you」みたいな素晴らしい曲も作れて、演奏できて、しかもあの外見だよ。世の中どこか間違ってると、もてないオトコのひがみはエンドレスに続くのだった。
休憩も終わり、後半のステージが始まった。お客さんは立ち見を入れて100人ちょっとだろうか。いい具合に会場も暖まり、後半は1曲目からノリノリであった。そういえばフランシスが何か話すと西藤さんがそれを日本語にするのだが、ステージ途中で「今日は通訳の西藤大信です」という自己紹介は受けた。それとフランシスの「ゲンキデスカ?」という日本語はアントキの猪木の真似だろうか。一体誰が教えたのだろう。客席から「元気でーす」というレスポンスが嬉しいのか「ゲンキデスカ?」を何度か連発した。
セットリストはどういうものかさっぱり分からなかった。ほとんど全てフランシスのオリジナルだったと思うが、西藤大信のオリジナルの「Message to you」は素晴らしかった。彼のギターも指とピックを交互に使い、曲に陰影をつけていたがフランシスのボーカルが一段と素晴らしかった。楽しいライブは時間が早く過ぎてしまう。ラストナンバーは全員大乗りの演奏で、古びたフレーズだがまさしく客席とステージが一体になった熱い演奏だった。最後のメンバー紹介が終わり、ステージから彼らは去っていった。しかしアンコールの手拍子は鳴り止まない。僕も久しぶりに両手が痛くなるまで叩き続けた。PRIVATEと書かれたドアが少し開いた。フランシスたちの笑顔が見えた。アンコールナンバーはその日のどの演奏よりも熱く素晴らしい演奏だった。曲が終わった瞬間多くの人が立ち上がった。自然発生的スタンディングオベーションだ。実はブログ用に写真を撮ろうとデジカメを用意していたのだが、会場の雰囲気を壊しそうで遠慮していた。しかしアンコール前あたりでどうにも我慢できず隠し撮りした。アンコールが終わったときは、もう知ったこっちゃないと堂々とカメラを向けた。
ライブのあとに物販スペースが設けられ、CDを買ったらサインが貰えるというのでフランシスのCDと西藤さんのミニアルバムを買った。本当はドラムの人のCDも欲しかったのだが、その日結婚式の祝儀で財布がほとんど空だったのを忘れていた。もっとも最初の2枚を買うにもお金が足りずY尾君に借りたのだ。フランシスがやってきてサインをしてくれた。思わず「’S Wonderful, ‘S Marvelous」と叫んだら、ニッコリ笑って「Marvelous?Thank you」と答えてくれた。また名前を書いてくれるというので僕の名前をローマ字で言ったら、丁寧にサインしてくれた。そのCDはFM TRIBEの1枚目でライブでもやった「INTERNATIONAL MAN」、「NEED SOMEBODY」、「AFRICA」などが入っている。しかし「INTERNATIONAL MAN」のカッコよさったらここ最近聞いたことが無いな。
西藤さんのCDは、「Message to you」の入っているミニアルバムを購入した。こちらもサインしてもらい、そのときに「『Message to you』はCDでは女性ボーカルが歌ってると言ってましたが、あの曲は絶対男性ボーカルがいいと思います」などと余計なことを言ってしまった。西藤さんは「そうですか、まあでも聞いてみてください」と大人の対応だった。家に帰って自分の発言の愚かしさを知り、土下座コメントを彼のHPに書くことになろうとはそのときは全く思わなかったのだが。
実はこのエントリー、後日談がありその翌日仕事である外国の人と会った。用が済んでナニゲニどこの国から来たかと聞いたら「トリニダードトバコ」という。「ああ、スティールドラムの国」といったところ、知ってるのか、音楽好きなのかという話になり、好きどころか昨日はフランシスのライブに行ったと話しをしたら、なんと西藤大信もよく知っており、シークレット・ギグも良くやったなどと言い始めた。えーと、名前出しても大丈夫かな、スティールドラムのプレイヤーでカリブ音楽のプロデューサーをしているガイさんというお方だった。いやー、宮崎狭いわ。そうそう西藤さんも宮崎は小林の出身なのでみんな応援してや。
【引用終わり】
西藤ヒロノブの演奏で「Message to you」を探したが、見つからないのでピアノで演奏している動画を添付します。オリジナルには女性ボーカルが入ってます。
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大野俊三ライブ・レポート
- 2016-10-12 (水)
- お知らせ
しかし、世の中で何が恐ろしいかというと思い込み、先入観、予断と偏見だ。この当たり前のことを今回のライブで思い知らされた。過日、宮崎国際ジャズデイの会議が終わって、さあ帰ろうとしていた時に実行委員長から全員ちょっと待ったの声がかかり、大野俊三というニュー・ヨーク在住のトランぺッターの来日公演があると聞かされたのは9月の下旬。場所はロックやブルース系のライブが多いニュー・レトロ・クラブ。ここは想い出の多いライブハウスで、学生時代に大好きだったバンドであるウシャコダの藤井君、恵副君(リトル・ジャイブ・ボーイズとしての来宮)の演奏を多分四半世紀ぶりに見た場所だし、こちらは何故か学生時代にライブを見る機会が何十回とありながら見逃していた(レイジー・ヒップをバックにしていた時に演奏が終わるちょっと前に銀閣寺のライブハウスで見たことはあったが)加川良のライブを2回見た場所でもある。そうそう、やはりニュー・ヨークに修行に行っていた地元の歌姫兼ユーフォニュウムプレイヤーの香月保乃を初めて見たのもここだった。おっと、今は亡き塩次伸二とウィーピング・ハープ妹尾のスペシャル・バンドもここで見た。ライブの後、楽屋で伸ちゃんにサインを貰い、大学の後輩だと名乗ったときの伸ちゃんの驚きようはなかったな、などという話はネバー・エンディング・ストーリーになるのでやめておく。もっとも最近の僕の悩みはウェスト・サイズ・フトーリーではあるのだが、ってこらこら場所をわきまえるように。ああ、良心様ポン(by 天才明田川)。
話が大きくそれたので、元に戻る。そういえば、昔、よく学校の先生、体育の先生が多かったけど、元に戻すことを「もといっ!!」と大きな声で言っていたが、あれは軍隊擁護用語だったのだろうか。などと考えだすとまた脱線するので、ここは大きな声で「もといっ!!」。ええと、要するに物事に先入観を持ってはいかんという話である。
大野俊三のライブに行くことになったはいいが、どんな音を出す人か事前に調べることを予習という。だいたい予習をしっかりやっておくと授業中に何かあってもたいていクリアできる。しかし、予習をしたことで油断をして肝心の授業を聞き洩らすと試験でいい点数は取れない。いや点数よりも授業内容の理解が浅くなる。それはさておき、大野俊三のサウンドは、先だっての会議の終わりに実行委員長がちらっと聴かせてくれたが、お、いかにもメロディアスなラッパだなと思ったくらいで特に強い印象はなかった。いや、実はつい最近トランペットでは痛い思いもしていたので、それで事前にあんまり調べようという気が起こらなかったのだが。
その痛い思いというのは、あれは毎月ではないと思うのだが、市立図書館のAVルームで時々レコードコンサートが行われる。高校の同級生であるY尾君から、その情報を教わり、最初に聴きに行ったときはジャズの入門編という形で、ビッグバンドからビバップ、ハードバップ、フリージャズと時系列に聴かせてもらった。演奏も選曲もなかなか渋くて、ヘレン・メリルとクリフォード・ブラウンのあの歴史的名盤から、あえて「ユードビーソーナイス」を外したのは、後でアート・ペッパーでかけるための布石だったなどと、聞き手を喜ばせる仕掛けも満載の楽しいイベントだった。真空管アンプにスピーカーも存在感がありすぎるくらいの重量級。いや楽しい2時間だった。そして、その続編がトランペット特集として後日行われた。前回がとても楽しかったので、今回も大いに期待して行ったのだが…。あの、ですね、トランペットを、様々なプレイヤーで2時間、延々と聴かされると、これは苦行以外の何物でもない。モノラルの時代からステレオの時代に入り、まあマイルスのあたりまでは楽しかった、それから先は、頼む、もうパツラは勘弁してくれ、おい誰かピアノ・トリオを流す心優しき人間はいないのかと半分泣きながら聴いた2時間ちょっと。しばらくトランペットはいいと思った。
そうはいうものの、宮崎国際ジャズデイのHPにもライブの告知をした以上、しっかり聴いてライブレポートをアップするのが人の道。もちろん予備知識なしで、全く白紙の状態でライブに臨むのもいいが、告知のエントリーをアップするのに、やはりどんな音を出すのか、YOU TUBEで探して直近のアルバム『月の光』の動画をブログに貼った。その時に何曲か聴いてみたのだが、イメージとしてはベニー・ゴルソン風の、アイ・リメンバー・クリフォード的なミュートを効かせてバラードをせつせつと吹く印象だった。余談だがタモリの名言にアメリカ人相手に「ユー・リメンバー・パールハーバー、バット、アイ・リメンバー・クリフォード」という名言がある。いつかロイクでもロイシでもいいが、モノホンのヤンキーと一緒に酒を飲む機会があったら僕もかましてみたい(笑)。
さて、当日。ライブ前の景気づけに地元で有名なセンベロ酒場、高砂でY尾君と待ち合わせ、生ビール片手にざる豆腐、鳥のもも焼き、卵焼き、あんかけ焼きそばなどをつまみに、もちろん黒霧のロックも頂きながらウォーミングアップ。時計を見たら19時を回っていたので慌ててニュー・レトロ・クラブに向かった。会場に入ると、すでに実行委員長や副委員長、その他の委員の方がいたのでごあいさつ。どうもどうもいやどうも、いつぞやいろいろこのたびはまた、まあまあひとつまあひとつ、そんなわけでなにぶんよろしく、なにのほうはいずれなにして、そのせつゆっくりいやどうも(by 高田渡)。しかし、予想以上にお客が少ない。ざっと見て20数名だろうか。最前列のテーブルはすべてエンプティである。こういう場合、我々は常に一番前の席を取る。音響うんぬんよりも、つねに最前線でプレイヤーを注視することこそ、ライブの醍醐味、ライブの現場参戦の意義があると勝手に思い込んでいる。
元ディスコだっただけに、天井でミラーボールは回るし、演奏前のBGMに寺尾聰の「ルビーの指輪」が流れたりする。まあ、あの曲は天才ギタリスト今剛が参加しているので許す。次はインストでビートルズナンバーが流れる。今からジャズのライブが始まるという雰囲気ではあまりない。それでも時間になったら、プレイヤーがステージに登場。バンマスの大野俊三の年齢は事前にチェックしていたが、バックのミュージシャンが全員若いのにちょっとクリビツ。簡単なMCの後、演奏が始まる。オープニングはジョージ大塚のグループにいたとき、彼がまだ若手時代の曲、「ゴー・オン」。うん、いい感じの滑り出しだ。
やはり、ミュートを駆使したバラード系が必殺技だなと思いながら見ていた。何しろ、同様の「おぼろ月夜」をしっとり噴き上げるし、彼のオリジナルの「Alone, not Alone」、同じく「easy does it」。などが続く。途中のMCも演奏者の人間性を表すような落ち着いたもの。あ、この人は人が良くていろんなミュージシャンに好かれたんだろうな。それでアート・ブレイキーやギル・エバンス、ウェイン・ショーター、ラリー・コリエルなどのバンドやレコーディングに誘われたんだろう、などと考えていた。しかし、ジャズの本場、ニュー・ヨークで生き残るには単なる人間性だけではないという当たり前のことをすぐに知らされる。宮本武蔵の生涯をテーマにした曲、「MUSASHI」で彼の凄さを見せつけられる。ちょっとフリー・フォームな力強い演奏に一発でやられてしまった。Y尾君は「これは80年代ブルー・ノートの音だ」と興奮して口走っている。
バック・ミュージシャンの紹介を忘れていた。キーボードは野力奏一。1957年生まれ。ジョージ・川口、本多俊之、山下達郎などのツアーに参加。その後はナベサダ、ヒノテルという日本のジャズシーンのレジェンド達のツアーにも参加している。なんとナベサダのあのラジオ番組「マイディアライフ」の音楽監督!!バラードで印象的なフレーズが多々あるのだが、この日はサウンドのバランスがあまり良く無く、音が小さく聞きにくいところがあった。MOTTAINAIとは、こういう時に使う単語だとワタクシは確信しています。ベースは1990年生まれの古木佳祐。若いなぁ~。バンマスの大野俊三とは過去にもセッションしており、本日もバンド全体をしっかり支え、それでもソロはきっちり取り、その存在感は、さすが「若き天才ベーシスト」と呼ばれるだけある。そして、なんとドラムは最年少の山田玲、なんと1992年生まれだ。ん、ちょい待ち、てことはベースとドラムは平成生まれだ!!!うーん。以前、宮里陽太のバックをしていたドラマーの海太郎も中学卒業後そのままプロになって驚いたが、この2人も若いだけでなく確かなテクニックと歌心を持っている。
今回のライブで、もちろん大野俊三のトランペットの凄さをしみじみ味わったのだが、もう一つの大きな収穫は、やはりドラムスというのは20世紀の音楽シーンで最高の発明だったという、これまた当たり前のことだった。この山田玲、なにしろ最初から最後まで叩きっぱなし。ドラムだから当然と思われるかもしれないが、いやそのパワフルさ、リズムの細かさ、そしてバンド全体をスィングさせる力。これはもう文句なし。途中でタムやハイハットを手でたたくしぐさが、どこかで見たなと記憶をたどっていって分かった。あの本田“ボンゾ”珠也のスタイルだ。受付でもらったパンフレットを見ると、やはりタマヤ氏に師事(他には猪俣猛、ジーン・ジャクソンなどにも師事)し、18歳でプロ・デビューとあった。よし、オレの耳は間違ってないと、ちょっとうれしかったな。
あっという間に2セット終了したが、観客から熱いアンコールの拍手が続く。20数名の客とは思えないくらいの熱く力強い拍手。再度、ステージに上がり演奏した曲は「Bubbles」。初めてニュー・ヨークに渡ったものの、仕事もはかばかしくないし、私生活も上手くいかない。落ち込んでハイドパークのベンチに座っていたら、子供たちがシャボン玉を飛ばして遊んでいた。その風景を見ているうちにメロディーが浮かんできて、もう少し頑張ろうという気持ちになったとこの曲のエピソードを話す姿は、2度のミュージシャンとしての危機を乗り越え不死鳥のごとく蘇った大野俊三の生きざまそのものだった。
余談だが、岐阜でTHIS BOYという音楽バーを経営している大学時代の同窓生がいる。今回のライブのことをFacebookにアップしたら、早速コメントが届いた。「大野俊三さん、きさくな人だよ!だって岐阜人だもん。数年前に話ししたことあるけど、うちの店には来た事ないですわ!岐阜のBAGUちゅうJAZZの店のマスター・猿渡さんと同級生!」。書き忘れたが、バックのメンバー紹介も丁寧だったし、自分の息子といえるくらいのベースやドラムにも丁寧にお辞儀している姿が印象的だった。
この手のエントリーを書いていて、毎回思うことだがジャズだろうがロックだろうが、ブルースだろうが、音楽はライブが一番。そして、そのライブの様子を文章に書こうとしても本来の素晴らしさの百分の一も伝わらない。やはり生で見ましょう。ということを書きながら、次のエントリーは「私と西藤ヒロノブの出会い」というテーマでアップします。ヨロシク!!!
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